はじめに
一般社団法人日本障がい者就労雇用支援協会では、障がいのある方の就労促進と、それを支える企業の取組みに注目し、インタビューを通じて広く紹介しています。
今回は、京都を中心に薬局運営を展開されているゆう薬局様にて、人事部長の小島様にお話を伺いました。障がいのある方を雇用するにあたって、どのような配慮や仕組みを整えているのか、現場目線で語っていただきました。

面接・入社時の「対話」を大切に
ゆう薬局では、障がいのある方を積極的に採用しており、面接や入社時に必ず本人と配慮事項について丁寧に対話することを重視しています。
“どんな支援があれば働きやすいか”“どんなことが苦手か”を本人の言葉でしっかり聞くようにしています。書類上の情報だけで判断しないのが基本です。
こうして確認された配慮内容は、現場の管理者やブロック長に正確に共有され、入社後も一貫した支援がなされる仕組みが整っています。
“働きやすい職場”へのこだわり

配属先の選定にも一工夫が見られます。
できるだけ障がいの特性に合った職場環境を選び、安心して働けるようにしています。
人間関係や業務の複雑さ、移動距離といった視点から、本人にとって最もストレスの少ない場所を考慮して配置することが、定着率の向上にもつながっているそうです。
通院・リハビリに対応した“特別有給制度”
就労と並行して治療やリハビリが必要な方も多く、ゆう薬局では「特別有給制度」を導入しています。
原則として月1回程度を目安に、必要に応じて通院やリハビリのための特別有給を付与しています。状況に応じて柔軟に対応しています。
障がいのある方が長期的に働き続けるためには、医療との両立が欠かせません。制度面からその両立を支援している点は、大きな安心材料です。
法定雇用率の“数字”ではなく“質”を追求
令和6年度の採用計画において、法定雇用率の達成を実現されたゆう薬局様ですが、そこに至るまでには人事部による年間の採用計画と現場との連携がありました。
達成することが目的ではなく、雇用した方が安心して長く働けることが大切だと思っています。
法定雇用率は“ゴール”ではなく“通過点”。企業として「誰もが働きやすい」環境を整えることが真の目的であるという姿勢が伝わってきます。
最後に:見えない努力が、安心につながる
インタビューを通して印象的だったのは、「当たり前のことを、丁寧にやる」という一貫した姿勢でした。
採用の入り口から現場でのサポート、制度設計まで。ゆう薬局様では“見えないところの努力”が着実に積み重ねられており、それが障がいのある方にとっての“働く安心”につながっていました。
今後も私たちは、こうした企業の誠実な取組みを発信し続けていきます。
取材・文:中川 力耶(一般社団法人日本障がい者就労雇用支援協会 理事)
協力:ゆう薬局 人事部長 小島様
企業名 | ゆう薬局グループ/株式会社ゆうホールディングス |
事業所 | 京都府103店舗、滋賀県4店舗〈2024年4月現在〉 |
本部住所 | 〒606-8413 京都市左京区浄土寺下馬場町106 |
HP | https://www.uno-upd.co.jp/ |
