法定雇用率が2.7%に引き上げられ、障がい者雇用に取り組む企業は増えています。それでも「なかなか進まない」「うまくいかない」という声は少なくありません。
当協会では、障がい者雇用が進まない原因は大きく「採用できない」「定着しない」の2つ、またはその両方にあると考えています。今回は、この2つの壁と、よく言われる「障がい者雇用のデメリット」の正体について考えます。
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法定雇用率を達成している企業は半数に届いていない
厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によると、法定雇用率を達成している民間企業の割合は46.0%でした。雇用されている障がいのある方の数は年々増えている一方で、半数以上の企業がまだ法定雇用率に届いていません。
なぜ進まないのか。その原因を「採用」と「定着」に分けて見ていきます。
1つめの壁:採用できない
採用の段階では、次のような悩みがよく聞かれます。
- 求人を出しても応募が来ない
- 任せられる仕事が社内に見当たらない
- 面接で何を確認すればよいか分からない
- どの支援機関に相談すればよいか分からない
採用については、ハローワークの障がい者専門窓口、就労移行支援事業所、特別支援学校、障害者就業・生活支援センターなど、相談できる窓口は数多くあります。また、仕事の切り出し方を工夫することで、「任せる仕事がない」という悩みが解消されることも少なくありません。
ただ、当協会が見てきた中で、より深刻なのは次の「定着」の壁です。
2つめの壁:定着しない
定着率とは
定着率とは、採用した人のうち、一定期間が経ったあとも在職している人の割合のことです。一般的には次のように計算します。
定着率(%)= 一定期間後も在職している人数 ÷ 採用した人数 × 100
たとえば、1年間に5人を採用し、1年後に4人が在職していれば、1年後の定着率は80%です。障がい者雇用では、この「1年後の定着率」がひとつの目安としてよく使われます。
障がいのある方の1年後定着率
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターの調査(2017年)では、就職から1年後の職場定着率は、身体障がい60.8%、知的障がい68.0%、精神障がい49.3%、発達障がい71.5%でした。
つまり、障がいの種別によっては、1年以内に3人に1人から2人に1人が職場を離れているということです。せっかく採用しても、定着しなければ、雇用率も戦力も積み上がっていきません。
「障がい者雇用のデメリット」と言われることの正体
障がい者雇用について調べると、「デメリット」として次のようなことがよく挙げられます。
- 周りの社員の負担が増える
- コミュニケーションが難しい
- 任せられる業務が限られる
- 職場でトラブルが起きる
- すぐに辞めてしまう
しかし、これらの多くは障がいそのものが原因ではなく、障がい特性への理解不足と、受け入れの準備不足から起きていると当協会は考えています。
たとえば「コミュニケーションが難しい」という悩みも、口頭の指示が伝わりにくい特性の方に、口頭だけで指示を出し続けていることが原因かもしれません。「周りの負担が増える」という悩みも、特性を知らないまま手探りで対応しているために、担当者ひとりに負担が集中しているのかもしれません。
特性を知り、伝え方や仕事の渡し方を少し変えるだけで、「デメリット」と思われていたことの多くは小さくできます。
採用と定着はつながっている
採用と定着は、別々の問題ではありません。
採用しても定着しないことが続くと、現場には「やっぱり障がい者雇用は難しい」という空気が生まれます。すると次の採用に慎重になり、受け入れる部署も見つからず、採用そのものが止まってしまいます。
反対に、一人が職場に定着して力を発揮すると、「この仕事も任せられる」「次の人も受け入れよう」という前向きな流れが生まれます。定着の成功が、次の採用を後押しするのです。
だからこそ当協会は、採用の先にある「定着」と「職場内のトラブル防止」に特に力を入れています。
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