法定雇用率が2.7%に引き上げられ、障がい者雇用に取り組む企業は増えています。それでも「なかなか進まない」「うまくいかない」という声は少なくありません。
当協会では、障がい者雇用が進まない原因は大きく「採用できない」「定着しない」の2つ、またはその両方にあると考えています。この記事では、この2つの壁と、よく言われる「障がい者雇用のデメリット」の正体について考えます。
- 法定雇用率を達成している民間企業は46.0%。半数以上がまだ届いていません
- 壁は 「採用できない」と「定着しない」 の2つ。より深刻なのは定着です
- 精神障がいのある方の就職1年後の定着率は49.3%。半数近くが1年以内に離職しています
- 「デメリット」と言われることの多くは、特性への理解不足と受け入れの準備不足から起きています
法定雇用率を達成している企業は半数に届いていない
雇用されている障がいのある方の数は年々増えている一方で、半数以上の企業がまだ法定雇用率に届いていません。なぜ進まないのか。その原因を「採用」と「定着」に分けて見ていきます。
1つめの壁:採用できない
- 求人を出しても応募が来ない
- 任せられる仕事が社内に見当たらない
- 面接で何を確認すればよいか分からない
- どの支援機関に相談すればよいか分からない
採用については、相談できる窓口が数多くあります。また、仕事の切り出し方を工夫することで、「任せる仕事がない」という悩みが解消されることも少なくありません。
| 相談先 | 主な内容 |
|---|---|
| ハローワークの障がい者専門窓口 | 求人の相談、職業紹介 |
| 就労移行支援事業所 | 就職を目指す方の訓練・紹介 |
| 特別支援学校 | 卒業予定者の職場実習・採用 |
| 障害者就業・生活支援センター | 仕事と生活の両面からの支援 |
ただ、当協会が見てきた中で、より深刻なのは次の「定着」の壁です。
2つめの壁:定着しない
定着率とは
定着率とは、採用した人のうち、一定期間が経ったあとも在職している人の割合のことです。
定着率(%)= 一定期間後も在職している人数 ÷ 採用した人数 × 100
例:1年間に5人を採用し、1年後に4人が在職していれば、1年後の定着率は80%です。障がい者雇用では、この「1年後の定着率」がひとつの目安としてよく使われます。
障がいのある方の1年後定着率
障がいの種別によっては、1年以内に3人に1人から2人に1人が職場を離れているということです。せっかく採用しても、定着しなければ、雇用率も戦力も積み上がっていきません。
「障がい者雇用のデメリット」と言われることの正体
障がい者雇用について調べると、「デメリット」としてさまざまなことが挙げられます。しかし、これらの多くは障がいそのものが原因ではなく、障がい特性への理解不足と、受け入れの準備不足から起きていると当協会は考えています。
| よく言われる「デメリット」 | 本当の原因として考えられること |
|---|---|
| 周りの社員の負担が増える | 特性を知らないまま手探りで対応し、担当者ひとりに負担が集中している |
| コミュニケーションが難しい | 口頭の指示が伝わりにくい特性の方に、口頭だけで指示を出し続けている |
| 任せられる業務が限られる | 仕事の切り出し方が本人の特性に合っていない |
| 職場でトラブルが起きる | 特性によるすれ違いが、誤解のまま積み重なっている |
| すぐに辞めてしまう | 困ったときに相談できる関係や仕組みがない |
特性を知り、伝え方や仕事の渡し方を少し変えるだけで、「デメリット」と思われていたことの多くは小さくできます。
採用と定着はつながっている
採用と定着は、別々の問題ではありません。


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