障がいのある社員と一緒に働くなかで、「何度説明しても伝わらない」「どう接すればいいか分からない」と、ついイライラしてしまったことはありませんか。そして、イライラした自分を責めてしまったことはないでしょうか。
障がい者雇用の定着というと、障がいのある社員本人への配慮に目が向きがちです。しかし、実際に毎日一緒に働いているのは、現場の上司や同僚です。周りの社員が疲れきってしまえば、どれだけ良い配慮も長続きしません。
- イライラするのは自然なこと。大切なのは相手にぶつけないことと、仕組みを見直すサインと捉えることです
- 負担が偏る職場には、担当者が一人・情報が共有されていないなどの共通点があります
- 担当者を一人にしない・配慮を見える化する・外部機関を使うことで負担は減らせます
- 職場に「特性が分かる人」がいると、周りの負担は大きく減ります
イライラすることは、悪いことではありません
「障がいのある方にイライラするなんて、自分は理解が足りないのではないか」
そう感じてしまう方は少なくありません。けれども、仕事がうまく進まないときにイライラするのは、人として自然な反応です。障がいのある社員に対してだけでなく、誰に対しても起こりうることです。
大切なのは、イライラをなくすことではなく、その感情を相手にぶつけないことです。そして、イライラが続くようであれば、それは個人の問題ではなく、仕事の進め方や職場の仕組みに見直すべき点があるというサインだと考えましょう。
負担が偏る職場で起きがちなこと
任されている
共有されていない
試行錯誤を続けている
決まっていない
こうした状況では、担当者が一人で悩みを抱え込み、やがて「もう無理です」と限界を迎えてしまいます。
周りの社員の負担を減らす5つの工夫
担当者を一人にしない
主な担当者は決めつつも、困ったときに代わりに対応できる人をもう一人決めておきます。厚生労働省の「合理的配慮指針」でも、障がいの種類を問わず、本人の相談に応じる担当者を決めておくことが配慮の例として挙げられていますが、担当者一人で抱え込まない体制づくりも同じくらい大切です。
配慮の内容を「見える化」して共有する
「指示は文字で出す」「午後に一度休憩を取る」など、本人と話し合って決めた配慮の内容を、関係する社員で共有します。対応がそろうと、本人も安心して働けるようになります。
障がいの内容や配慮を周りに伝えるときは、必ず本人の同意を得たうえで、必要な範囲の人にだけ伝えましょう。
本人の「調子のサイン」を知っておく
精神障がいのある方の中には、体調や気分に波がある方もいます。「口数が減る」「遅刻が増える」など、調子が崩れ始めるときのサインを、あらかじめ本人と確認しておくと、周りも早めに声をかけられます。何か起きてから慌てるより、ずっと負担が小さくなります。
上司自身が相談できる先を持つ
| 相談先 | 主な内容 |
|---|---|
| 社内の相談窓口 | 社内での調整、配慮内容の相談 |
| 地域障害者職業センター | ジョブコーチ支援など、職場定着の専門的な支援 |
| 障害者就業・生活支援センター | 仕事と生活の両面からの支援 |
| 本人が利用している就労支援機関 | 本人の特性をよく知る支援者への相談 |
「困ったら相談できる」と分かっているだけで、担当者の気持ちはずいぶん楽になります。
うまくいっていることにも目を向ける
課題ばかりに目が向くと、職場の雰囲気も重くなります。「最近、作業が安定してきた」「挨拶が増えた」など、小さな変化を周りで共有すると、関わる社員の手応えにもつながります。
- 障がいのある社員の担当者は2人以上いるか
- 配慮の内容が関係者に共有されているか(本人の同意あり)
- 本人の「調子のサイン」を確認しているか
- 困ったときの外部の相談先を決めているか
- うまくいっていることを職場で共有しているか
イライラした後に、できること
気持ちを落ち着けることを優先します。
「同じ説明を3回した」「急ぎの仕事なのに進まなかった」など、原因を具体的にします。
「説明を文字にしておこう」「急ぎの仕事は別の人に回そう」など、仕事の進め方を見直します。
イライラは、仕事の進め方を見直すヒントでもあるのです。
職場に「特性が分かる人」がいると、負担は大きく減る
周りの社員の負担の多くは、「なぜそうなるのか分からない」ことから生まれます。なぜ同じことを何度も確認するのか。なぜ急な予定変更で調子を崩すのか。その背景にある特性が分かれば、「そういうことだったのか」と受け止め方が変わり、対応の工夫も見えてきます。

