2026年7月に法定雇用率が2.7%へ上がって対象が従業員37.5人以上に広がり、自社が対象に入ったのか気になっている人事・総務の担当者もいるでしょう。従業員の数え方を誤ると、必要な人数を少なく見積もってしまう場合があります。
従業員の数に2.7%を掛け、1人未満を切り捨てた数が、自社で雇う必要のある障がい者の人数です(除外率がある業種は、除外する人数を差し引いてから掛けます)。この記事では、法定雇用率の基本と対象になる企業、規模別の早見表と数え方を整理し、達成できないときの扱いと対応まで解説します。
この記事を読めば、自社に必要な人数と今の不足数を社内で出せるようになり、経営者や上司にも根拠をもって説明できるでしょう。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。
※本記事では「障がい」と表記していますが、法律名や制度名などの正式名称は「障害」のまま記載しています。
法定雇用率とは
法定雇用率とは、障害者雇用促進法に基づき、事業主が雇う従業員のうち障がい者が占めるべき割合のことです。事業主には、この割合を満たす人数の障がい者を雇う義務があります。法令上は「障害者雇用率」と呼ばれ、少なくとも5年ごとに政令で定められます。
ここでは、民間企業と国や自治体それぞれの率を確認しましょう。
民間企業の法定雇用率
民間企業の法定雇用率は、2026年7月1日から2.7%です。2024年4月から2026年6月30日までは2.5%だったため、0.2ポイントの引き上げになります。
引き上げにともない、障がい者を雇う必要がある企業の範囲も、従業員40.0人以上から37.5人以上に広がりました。従業員150人の会社では、2.5%のときに3人だった雇用義務の人数が、2.7%では4人に増えています。
なお、実際の割合が2.7%に届かなくても、計算で出た人数を雇っていれば法定雇用率を達成した扱いです。
関連記事:障がい者雇用は「義務」から「戦力」へ―法定雇用率2.7%時代に企業が考えるべきこと
国や自治体などの法定雇用率
国や地方公共団体、独立行政法人などの一定の特殊法人には、民間企業とは別の法定雇用率が定められています。いずれも民間企業の率を下回らない率とする決まりで、2026年7月1日から次のように引き上げられました。
| 区分 | 2026年6月まで | 2026年7月から |
|---|---|---|
| 民間企業 | 2.5% | 2.7% |
| 国・地方公共団体 | 2.8% | 3.0% |
| 都道府県等の教育委員会 | 2.7% | 2.9% |
| 一定の特殊法人 | 2.8% | 3.0% |
取引先が公的機関であっても、自社の人数を出すときに使う率は民間企業の2.7%です。
法定雇用率の対象になる企業
法定雇用率の対象になるかどうかは、企業全体で雇っている従業員の数で決まります。数え方にはパートやアルバイトの扱いを含めたルールがあり、正社員の数だけで判断すると誤りのもとです。
ここでは、37.5人の基準の意味と数え方、対象企業に求められる義務を解説します。
従業員37.5人以上の企業
2026年7月からは、従業員を37.5人以上雇っている事業主に、障がい者を1人以上雇う義務が生じます。37.5人に2.7%を掛けると1.0125人となり、端数を切り捨てると1人になる計算です。
37人の場合は0.999人で、切り捨てると0人です。判定は事業所ごとではなく、本社や支店を合わせた企業全体の従業員数で判断します。
週20時間以上30時間未満の人は0.5人と数えるので、37.5人のように0.5人単位が基準になります。除外率がある業種では、除外率で差し引いたあとの人数で判定しましょう。障がい者が1人もいない企業でも、対象であれば雇用状況の報告が必要です。
パートを含めた従業員の数え方
従業員の数には、正社員だけでなく、雇用契約の形式を問わず条件を満たす人が入ります。対象は、週の所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇われる見込みがある人です。
すでに1年を超えて雇われている人も含み、パートや有期契約の人も条件を満たせば数に入ります。数え方は、週の所定労働時間で次のように分かれます。
- 週30時間以上:1人
- 週20時間以上30時間未満:0.5人
- 週20時間未満:数に入れない
正社員30人と週25時間のパート16人の会社なら、30人+16人×0.5で38人と数えます。この場合の必要な人数は1人です。育児休業などで休んでいる人や65歳以上の人も、従業員の数に含めましょう。
対象企業の義務
法定雇用率の対象になる企業には、主に次の3つが求められます。
- 障がい者の雇用義務
- 6月1日時点の雇用状況の報告
- 障害者雇用推進者の選任(努力義務)
雇用状況の報告は、毎年6月1日現在の状況を7月15日までに、本社を管轄するハローワークへ出します。報告をしない場合や虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金の対象です。
障害者雇用推進者は障がい者の雇い入れや雇用管理の責任者で、国は人事労務を担当する部長クラスの人などを選ぶよう勧めています。報告が必要な規模は37.5人以上ですが、2026年6月30日までは40人以上でした。37.5人以上40人未満の企業は、2027年6月1日時点の報告が最初になります。
法定雇用率2.7%で何人必要?
自社が雇う必要のある障がい者の人数は、法令の計算式で求められます。式そのものは単純ですが、端数の扱いや業種による差を知らないと、人数を取り違える場合があります。
ここでは、計算式と従業員規模別の早見表、除外率がある業種の計算を見ていきましょう。
必要な人数の計算式
必要な人数は「従業員の数×2.7%」で計算し、1人未満の端数は切り捨てます。除外率がある業種は、従業員の数から除外する人数を差し引いてから掛けます(詳しくはこのあとの見出し「除外率がある業種の計算」で解説します)。

法令ではこの人数を「法定雇用障害者数」と呼び、雇っている障がい者の数がこの人数以上なら、法定雇用率を達成している状態です。
従業員の数は、前の章で紹介したとおり、週20時間以上30時間未満の人を0.5人として数えた合計です。従業員120人の企業なら、120人×2.7%=3.24人となり、端数を切り捨てた3人が雇用義務の人数となります。
四捨五入ではなく切り捨てのため、3.9人のように1人近い端数が出ても3人で足ります。反対に、従業員が少し増えただけで必要な人数が1人増える境目があるため、次の早見表で確認していきましょう。
従業員規模別の早見表
2.7%で必要な人数は、従業員の数に応じて次のとおりです。
| 従業員の数 | 必要な人数 |
|---|---|
| 37.5〜74人 | 1人 |
| 74.5〜111人 | 2人 |
| 111.5〜148人 | 3人 |
| 148.5〜185人 | 4人 |
| 185.5〜222人 | 5人 |
| 222.5〜259人 | 6人 |
| 259.5〜296人 | 7人 |
| 296.5〜333人 | 8人 |
※法令の式(従業員の数×2.7%、1人未満の端数は切り捨て、週20時間以上30時間未満の人は0.5人)から出した計算値です。除外率がある業種は、除外する人数を差し引いたあとの数で当てはめます。
従業員50人なら1人、100人なら2人、200人なら5人、300人なら8人です。採用や退職で境目をまたぐと、必要な人数も変わります。従業員が74人から74.5人に増えるだけで、必要な人数は1人から2人になる計算です。
除外率がある業種の計算
障がい者の就業が一般的に難しいとされる業種には、従業員の数から一定の割合を差し引ける「除外率」が設けられています。除外率がある業種では、従業員の数から「その業種の従業員数×除外率」を差し引いてから、2.7%を掛けます。
除外率は2025年4月に各業種で10ポイント引き下げられ、10%以下だった業種は対象から外れました。今も除外率が設定されている業種は23業種で、主な業種と除外率は次のとおりです。
| 主な業種 | 除外率 |
|---|---|
| 建設業 | 10% |
| 道路貨物運送業 | 10% |
| 警備業 | 15% |
| 医療業 | 20% |
| 介護老人保健施設 | 20% |
| 児童福祉事業 | 30% |
医療業で従業員200人の病院なら、200人×20%=40人を差し引いた160人に2.7%を掛け、必要な人数は4人です。除外率がなければ5人です。
除外率の制度は2004年4月に廃止され、経過措置として残る率も段階的に縮小されているため、将来の人数の増加も見込んでおくとよいでしょう。
法定雇用率で障がい者を数えるルール
障がい者を数えるときは、障がいの種類と程度、週の所定労働時間によって1人あたりの数え方が変わります。1人を2人と数える場合もあれば、0.5人と数える場合もあるため、区分ごとの整理が必要です。
ここでは、対象になる障がいの種類と、働く時間ごとの数え方、精神障がい者の特例を解説します。
対象になる障がいの種類
法定雇用率で数える障がい者は、身体障がい・知的障がい・精神障がいのある人の3種類です。実際には、次のいずれかで確認できる人が数える対象になります。
- 身体障害者手帳
- 指定医・産業医などの診断書・意見書(一部の障がいは指定医のものに限る)
- 療育手帳や判定機関の判定書
- 精神障害者保健福祉手帳
精神障がいは、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人に限られます。手帳をもたない精神障がい・発達障がいのある人は対象外です。
確認に使った書類の写しは、事業所に備え付けておく必要があります。
週30時間以上働く社員
週の所定労働時間が30時間以上の障がい者は、原則として1人を1人と数えます。ただし、重度身体障害者と重度知的障害者は、1人を2人と数える決まりです。
重度身体障害者には、身体障害者手帳の1級または2級の人などが当てはまります。重度知的障害者は、療育手帳で程度が「A」の人などです。
精神障がい者には重度の区分がなく、週30時間以上なら1人として数えます。週40時間働く重度身体障害者1人と、同じく週40時間働く精神障がい者1人なら、計3人分です。
重度にあたるかどうかで数え方が倍になるため、手帳の等級や判定も把握しておきましょう。
週30時間未満で働く社員
週30時間未満で働く障がい者は、障がいの区分と働く時間によって、次のように数えます。
| 区分 | 週20時間以上30時間未満 | 週10時間以上20時間未満 |
|---|---|---|
| 身体・知的 | 0.5人 | 数えない |
| 重度身体・重度知的 | 1人 | 0.5人 |
| 精神 | 1人 | 0.5人 |
週10時間以上20時間未満の人を0.5人と数える制度は、2024年4月に始まりました。この労働時間の人は従業員数に含みませんが、重度身体障害者・重度知的障害者・精神障がい者に限り、原則として障がい者1人を0.5人と数えます。
表の精神の「1人」は、次の見出しで解説する特例による扱いです。
精神障がいのある社員の特例
週20時間以上30時間未満で働く精神障がい者は、本来の0.5人ではなく、特例で1人と数えます。2023年4月からは「当分の間」、雇い入れからの期間などに関係なく1人として扱われています。
特例を今後も続けるかは、国の審議会の議題として取り上げられました。2026年6月の資料でも議論されているのは、特例を継続し、恒久化の要否を引き続き検討する方向性までで、結論は出ていません。
法定雇用率の達成を確かめる方法
法定雇用率を達成しているかは、障がい者の把握と人数の計算という2段階で確かめます。把握の段階で求められるのは、社員のプライバシーへの配慮です。
ここでは、障がいのある社員を把握する方法と、実雇用率・不足数の計算を見ていきましょう。
障がいのある社員を把握する
障がいのある社員を把握するときは、厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」に沿って進めます。採用後に把握する場合は、社員全員にメールや書類の配布など同じ方法で申告を呼びかけるのが原則です。
呼びかけでは、雇用状況の報告などの利用目的を伝え、業務命令ではないと明らかにしておきましょう。ガイドラインが禁じている主な行為は、次のとおりです。
- 申告や手帳の取得の強要
- 拒んだ社員への不利益な扱い
- 正当な理由のない名指しの照会
精神障害者保健福祉手帳は有効期限が2年間のため、期限後に更新しているかの確認も必要になります。把握した手帳の写しなどの書類は、退職などの日から3年間保存する決まりです。
実雇用率と不足数を計算する
実雇用率とは、従業員の数に占める障がい者の数の割合です。達成の状況は、次の手順で確かめられます。
- 従業員の数を0.5人単位で数える
- 除外率がある業種は除外する人数を引く
- 2.7%を掛けて必要な人数を出す
- 雇っている障がい者を区分ごとに数える
- 必要な人数との差を出す
必要な人数から実際の人数を引いた差が、不足数です。150人規模の企業なら必要な人数は4人で、週40時間の重度身体障害者1人と週25時間の精神障がい者1人を雇っていれば3人分となり、不足数は1人になります。
厚生労働省の令和7年の集計によると、当時の法定雇用率2.5%に届かない企業のうち、不足数が0.5人または1人の企業が64.0%を占めていました。あと1人で届く企業も多いため、自社の不足数を正確に出しておくとよいでしょう。
法定雇用率を達成できないとどうなる?
法定雇用率を達成できないときに求められる対応は、企業の規模によって変わります。従業員100人を超える企業は納付金の対象になり、実雇用率が低い企業にはハローワークの指導が入る仕組みです。
ここでは、100人を超える企業と100人以下の企業の違い、行政指導の流れを解説します。
100人を超える企業の納付金
従業員が100人を超える企業で法定雇用率に届いていない場合は、不足する人数に応じて、1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金を納めます。年間を通じて1人不足していれば、5万円×12か月で60万円です。
納付金は、障がい者の雇用にともなう経済的な負担を事業主の間で調整する制度で、集めた納付金は調整金や助成金の財源になります。申告と納付の窓口は、納付金や助成金を扱う独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)です。
100人を超える企業は、法定雇用率を満たしていても毎年度の申告が必要です。申告をしなかったり申告した額が少なかったりして、機構が決めた納付金を納める場合は、天災などの理由を除き、その納付すべき額の10%の追徴金もかかります。
100人以下の企業の扱い
従業員が100人以下の企業には、当分の間、納付金と調整金の規定が適用されません。法定雇用率に届いていなくても、納付金を納める必要はない仕組みです。
| 項目 | 37.5〜100人 | 100人超 |
|---|---|---|
| 障がい者を雇う義務 | ○ | ○ |
| 雇用状況の報告 | ○ | ○ |
| 納付金 | なし | 不足1人あたり月額5万円 |
ただし、雇用義務そのものは100人以下でも外れません。37.5人以上の企業には、障がい者を雇う義務と、毎年6月1日時点の雇用状況を報告する義務が残ります。
なお、100人以下の企業に納付金を広げるかは国の審議会で今後議論される予定で、決定には至っていません。
ハローワークの行政指導
法定雇用率に届かない企業のうち、実雇用率が低い企業には、ハローワークが段階を踏んで指導します。主な流れは次のとおりです。
- 雇用状況の報告
- 雇入れ計画作成命令
- 適正実施勧告
- 特別指導
- 企業名の公表
雇入れ計画作成命令は、公共職業安定所長が翌年1月から2年間の計画を作るよう命じるものです。
今後の雇い入れが見込まれる企業のうち、法定雇用障害者数が3〜4人で障がい者を1人も雇っていない場合は、命令を出す基準に当てはまります。2.7%では早見表の111.5〜185人の企業がこの人数にあたるため、1人も雇っていない場合は早めに採用の準備を始めるとよいでしょう。
関連記事:障がい者雇用の罰則は?法定雇用率を達成できない企業に起きること―納付金・行政指導・企業名公表までの流れと時期
法定雇用率が2.7%に変わった年度の扱い
法定雇用率は2026年7月1日に2.7%へ変わりましたが、年度の途中で切り替わったため、報告と納付金で使う率が異なります。引き上げの直後は、どちらの率で判定されるかを取り違えないよう注意が必要です。
ここでは、2026年6月1日時点の報告と、2026年度分の納付金の計算を確認しましょう。
2026年6月1日時点の雇用状況報告
2026年6月1日時点の雇用状況報告では、2.7%ではなく、引き上げ前の2.5%で不足の有無を確認します。報告が必要な企業の範囲も、2026年6月30日までは40人以上でした。
2026年7月15日までに出した報告は、従業員40人以上・法定雇用率2.5%の基準で判定されています。従業員150人の企業を例にとると、150人×2.5%=3.75人で、必要な人数は3人です。
2.7%と37.5人以上の基準で報告するのは、2027年6月1日時点の報告からです。同じ規模でも2027年の報告では必要な人数が4人になるため、今のうちに1人分の採用計画を立てておきましょう。
2026年度分の納付金の計算
2026年度分の障害者雇用納付金は、2026年6月以前の各月は2.5%、7月以降の各月は2.7%で計算します。毎月1日時点の従業員の数に率を掛け、月ごとに端数を切り捨てた人数を1年分合計する仕組みです。

150人の企業では、4〜6月の3か月は3人、7月〜翌年3月の9か月は4人が各月の必要な人数になります。1年分の合計は3人×3か月+4人×9か月で45人分となり、雇っている障がい者が1年を通じて3人なら、9人分の不足で45万円の納付金です。
2026年度分の申告期間は、2027年4月1日から5月17日までです。7月以降の9か月は必要な人数が1人増えているため、採用の時期が早いほど不足分を減らせるでしょう。
法定雇用率が未達成のときの対応
法定雇用率に届いていないときは、相談先を知り、採用の方法と支援制度を組み合わせて不足を埋めていくのが基本です。採用した人が長く働ける職場を整えると、達成した状態を保てます。
ここでは、相談先と採用ルート、助成金、職場づくりの4つを紹介します。
ハローワークや支援機関に相談する
障がい者雇用の支援制度は種類が多いため、まずは事業所を管轄するハローワークに相談しましょう。障がい者を雇う事業主の相談や支援を担う中心的な機関は、次の3つです。
| 機関 | 主な支援 |
|---|---|
| ハローワーク | 職業紹介・助成金の案内 |
| 地域障害者職業センター | 専門的な助言・ジョブコーチの派遣 |
| 障害者就業・生活支援センター | 就業と生活の一体的な相談 |
2024年4月からは「障害者雇用相談援助事業」も始まり、相談援助を担う事業者から原則無料で雇用管理の相談援助を受けられます。対象は、雇い入れから雇用の継続までに必要な一連の雇用管理です。
ハローワークは、必要に応じて地域障害者職業センターなどの専門機関も紹介しています。
採用ルートを広げる
障がい者の採用ルートは、ハローワークの求人だけではありません。主なルートには次のようなものがあります。
- ハローワークへの求人申し込み
- 障害者就職面接会への参加
- 職場実習の受け入れ
- トライアル雇用の活用
- 特別支援学校などとの連携
障害者就職面接会は、求職中の障がい者と複数の企業が一堂に会する、ハローワークが開く面接会です。職場実習を経てから雇うと、ご本人と事業主が互いを理解したうえで雇用に進めます。
トライアル雇用は、ハローワークなどの紹介で試行的・段階的に雇い入れる制度で、常用雇用への移行に向けて社内の理解も進みます。障がい者を雇った経験がない企業は、職場実習やトライアル雇用から始める方法も検討しましょう。
関連記事:障がい者雇用が進まない2つの壁「採用」と「定着」―定着率とは?デメリットの正体は?
助成金を活用する
障がい者を雇い入れるときや、雇用を続けるための措置をとるときには、国の助成金を受けられる場合があります。雇い入れのときに利用できる主な助成金は、次のとおりです。
| 助成金 | 主な額 |
|---|---|
| トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース) | 1人あたり月額最大4万円 |
| 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) | 中小企業で120万円(2年)など |
どちらも、ハローワークなどの紹介による雇い入れが要件に含まれます。精神障がい者のトライアル雇用では、雇い入れから3か月間は月額最大8万円です。
雇用したあとも、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)や障害者作業施設設置等助成金など、継続して雇うための助成金があります。助成金には受給要件や支給申請期間があるため、採用を決める前にハローワークへ問い合わせておきましょう。
長く働ける職場を整える
事業主には、障がいの特性に配慮した措置(合理的配慮)を、過重な負担にならない範囲で提供する義務があります。採用した人が辞めずに働き続けられる職場づくりは、達成した人数を保つ土台にもなります。
配慮の内容は、ご本人と事業主でよく話し合って決めましょう。公的な支援には、働く障がい者と事業主の双方に助言するジョブコーチ(職場適応援助者)や、労働局・ハローワークの「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」があります。
社内で人を育てる方法の一つが当協会の認定資格「企業在籍型特性支援士〈初級〉」で、現場で障がい特性を理解し適切に配慮できる社員を育成する半日の研修と試験です。社内に特性を理解する人を置きたいときは当協会へご相談ください。
関連記事:合理的配慮とは?障がい者雇用の基本と障がい別の具体例、進め方をやさしく解説
法定雇用率でよくある質問
法定雇用率については、今後の引き上げや上回ったときの扱い、社員が辞めたときの数え方が気になる担当者もいるでしょう。
ここでは、法定雇用率に関する3つの質問にお答えします。
法定雇用率は今後も上がる?
法定雇用率が次にいつ、いくつになるかは未定です。法律は、障がいのある労働者が占める割合の推移を踏まえて、少なくとも5年ごとに率を政令で定めるとしています。
この規定が定めているのは見直す頻度であり、引き上げの方向まで決めたものではありません。次の率の算定のしかたは、2026年8月31日の国の審議会で「次期算定に向けた検討の方向性(案)」として議論されている段階です。
これまでの推移や今後の見通しは、関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:法定雇用率はなぜ上がり続けるのか―1.5%から2.7%までの推移と、海外比較から見る今後の見通し
法定雇用率を上回ると何かもらえる?
法定雇用率を上回ったときにもらえるものは、企業の規模で異なります。従業員100人を超える企業は、法定雇用率を超えて雇っている人数に応じて、1人あたり月額29,000円の障害者雇用調整金を申請により受けられます。
調整金は、支給対象が年120人月を超える部分は1人あたり月額23,000円です。人月は、各月の人数を1年分合計した数です。
100人以下の企業の報奨金は、法定雇用率を上回るだけでは支給されません。各月の従業員数の4%を年度で合計した数か、72人のどちらか多いほうを超えた分が対象で、1人あたり月額21,000円です(支給対象が年420人月を超える部分は月額16,000円)。
どちらも申請が必要なため、対象になりそうなときは、JEEDの案内で申請の時期を調べておきましょう。
障がいのある社員が辞めたらどうなる?
障がいのある社員が辞めると、そのあとの人数から外れるため、法定雇用率の達成に影響します。人数を数える日は、納付金・調整金・報奨金が各月の初日、雇用状況の報告が6月1日現在です。
退職後の月の初日から人数が減るため、100人を超える企業では納付金の計算にも差が出ます。障がい者を解雇する場合は、ご本人の責任による解雇などを除き、ハローワークへの届出が必要です。
退職で必要な人数を下回ったときは早めにハローワークへ相談し、辞めた社員の手帳の写しなども退職の日から3年間は保存しておきましょう。
法定雇用率について解説しました
民間企業の法定雇用率は2026年7月1日から2.7%になり、従業員37.5人以上の企業は障がい者を1人以上雇う必要があります。必要な人数は、従業員の数に2.7%を掛けて1人未満を切り捨てた数です(除外率がある業種は、除外する人数を差し引いてから掛けます)。
まずは週の所定労働時間で従業員の数を数え直し、早見表で必要な人数と不足数を確かめましょう。不足があるときは、ハローワークに相談し、採用ルートと助成金を組み合わせて計画を立てると安心です。
人数をそろえたあとも、達成した状態を保てるかは、採用した人が長く働ける職場かどうかにかかっています。長く働ける職場づくりに向けて、障がい特性への理解を社内に広げたい場合は、当協会へご相談いただければ、社内の理解者づくりから支援します。
参考サイト
- 障害者の雇用の促進等に関する法律|e-Gov法令検索
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行令|e-Gov法令検索
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則|e-Gov法令検索
- 障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
- 事業主の方へ|厚生労働省
- 障害者雇用率制度について|厚生労働省
- 除外率制度について|厚生労働省
- 障害者雇用状況報告記入要領|厚生労働省
- 法定雇用率|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
- 障害者雇用納付金制度の概要|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
- 障害者雇用のご案内~共に働くを当たり前に~|厚生労働省
- プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン|厚生労働省
- 障害者雇用率制度等の在り方について|厚生労働省
- 精神障害者の算定特例の延長について(案)|厚生労働省
- 法定雇用率の算定に係る考え方について|厚生労働省
- 今後の検討スケジュールおよび議題について|厚生労働省
- 令和7年障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
- 障害者雇用率達成指導の流れ|ハローワーク(北海道)
- 令和7年障害者雇用状況の集計結果(令和7年6月1日現在)|名寄公共職業安定所

